猫
BGM:北村匠海(Dish//)—猫
文字:月月
絵 :奶蓋
*専門翻訳者ではありません、何か間違いがありましたら、どうかご容赦ください。*
窓辺に吹く風が、半透明の白いカーテンを揺らし、肌に刺すような寒さをもたらすと、浮奇はも先の夢の内容を忘れてしまった。
最後に見えたのは、抱かれたまま眠っている猫だった。紫瞳の中に優しさが花開かせるような。そして、あの白い子猫は、花の香りの中でようやく目を覚ました。
「へへ。」
灼熱の太陽に照らされた余熱を引き寄せるかのように。子猫の体には、暖かくて強い太陽の香りはない ——ただ、鼻先を撫でると簡単に感じてしまう、かすかで鮮やかな香りであった。初めて出会った時の青臭い海風の中でも、彼に向かって砂を踏みしめる小さな白い影が、心の隙間を埋めてくれた。
ある夜、目を覚ますと、彼に優しくすり寄せている夢を見ていたのを覚えています。その時ならぬ甘えの日常に慣れていた浮奇は、無視できない気配を感じて目を覚ました。目を開けたとたん、猫の足の付け根部分に唐突な傷が見えた。めまいと痛みの波が押し寄せ、パニック発作で真っ暗闇に沈んでいく。
心は予想外に締め付けた。髪の毛をかきむしり、涙を絞り出せば不安が和らぐと思ったが、そうはならなかった。でも、そうじゃない。
すべての苦しみの根源に答えがある——理性が戻ったときにだった、浮奇が気がついた、たぶん自分にはそんな血のまばゆいばかりの赤さに怯えている。
でも、そうじゃないかもしれない。多分、毛皮に映える赤を見るのが怖かっただけなのだ。
子猫に出会う前と同じように、目を覆う。毎晩、暗闇の中で一人、長い年月をかけて時間が流れている。悲しみと理由を思い出せないという最悪のサイクルに陥っている。孤独に慣れるかと思いきや、海を前にして足首を溺れさせる冷たさに反駁された。
その時が子猫を見て、希望が見えたような気がした。彼は地平線より先には行かなかった、手を伸ばし、子猫を抱き上げた瞬間、再び太陽に向かえるような気さえした。
また、海に行こうか。前回はそれで痛みが解消されました、浮奇は心に決めた。瞼が沈み、たった一粒の涙を落とすと、猫にそっと口づけされる。
同じ時間、同じ海辺で。太陽は水平線に完璧な弧を描いて沈む。浮奇は頑固に性格のいい子猫を抱きかかえている。夕陽の温もりは、彼の心の鼓動に寄り添い、孤独を感じさせないようにしなければならない。
しかし、子猫は自由を欲しているのだろう、浮奇はその白い影を浅瀬に走らせる。
夕焼けで空気がにじんでいるのか、よくわからない。浮奇は、広大な景色になかなか馴染めずにいた。そんな風景は、急に強い息苦しさをもたらす。何かに強く抱かれたくてたまらなくなるのだ。
抱きしめること、心の中の光景と重なり合う。その記憶が自分の認識と矛盾しているのに気づき、彼は慌てた。自分はいつも一人だったこと、心の中の影は存在しないはずだと気づいたときだろう。
夕陽の光がゆっくりと海に沈んでいく中、浮奇の目は無意識のうちに白い子猫を追っていた。目がかすんでた、顔をしかめながら、もっとよく見ようとした。しかし、あの一瞬、ネコが波の白さに紛れ込んだ。世界が瞬間的にはじけるようで、忘れさせられていた記憶が次々とよみがえり、心と頭を溢れさせていく。
記憶中を占める姿がだんだん鮮明になってきて、あっという間だった。熱に浮かされた鼓動、数え切れない夜に響く彼との声、夕焼けと同じ周波数の足音が、よみがえった。今度こそ、浮奇はついに泣き出してしまった。風は桜の香りを含んでいて、昔の時にみたいなので、悲しい時にあの優しい心地よさ掌が髪の上を覆っていた。
君に会いたい。
分断された時間が繋ぎ合わされ、子猫は二度と戻ってこない。最後の瞬間、ウキは聞き覚えのある声が壊れた魂を拾い上げ、彼が願ったに違いない幻想と苦痛から引き離すのを知った。だからこそ、彼は安らかに去ることができなかったのだ。
——浮奇、花が咲く季節を受け入れてくれ。
——僕と向き合って、幸せになろう。
§——𝔗𝔥𝔦𝔰 𝔦𝔰 𝔱𝔥𝔢 𝔰𝔱𝔞𝔫𝔡𝔞𝔯𝔡 𝔰𝔱𝔞𝔯𝔱 𝔱𝔬 𝔩𝔬𝔯𝔢𝔪 𝔦𝔭𝔰𝔲𝔪——§